夫婦・子ども

離婚問題

【 離婚の4つの方法 】

夫婦関係がうまくいかずに悩まれている方は少なくないと思われます。離婚の件数それ自体は2002年をピークに減少傾向が続いているようですが、離婚に関するご相談をいただく数にあまり変わりはないというのが実感です。

離婚の方法には、以下の4つの方法があります。

①協議離婚:2人それぞれと証人2名が離婚届に署名・捺印等をして役所に届け出る方法

②調停離婚:裁判所の調停で話し合いをし、調停条項で離婚を合意し、その調停条項を役所に届け出る方法

③和解離婚:離婚裁判のなかで、離婚等について合意ができた場合に、和解条項で離婚を合意し、その和解条項を役所に届け出る方法

④裁判離婚:裁判所に離婚の請求を認める旨の判決をもらい、その判決を役所に届け出る方法

当事者同士の話し合いで、離婚や離婚の条件を合意できるのであれば、協議離婚によるのがよいと思われます。

もっとも、離婚が問題となっているご夫婦の場合、当事者同士のみの話し合いで解決することは難しいのも現実です。

そうした場合を考慮して、日本の法律は、裁判所と調停員2名が構成する調停委員会が、当事者双方の間に入って、双方の意向をききながら話し合いを調整する手続(離婚調停)を用意しています。離婚調停で、離婚や離婚の条件を合意できる場合は、調停離婚によって離婚することができます。

離婚調停によっても話し合いがまとまらない場合は、離婚裁判によって決着をつけることになります。裁判の中で話し合いがまとまれば和解離婚によって離婚が成立することになりますし、話し合いがまとまらなければ裁判離婚により離婚が成立することになります。

一般論としては、当事者同士で話合いをすることが可能な場合は、弁護士に依頼せずに、協議離婚または調停離婚により、話し合いをされてもよいと思います。

相手方が弁護士をつけてきた場合や、当事者同士で話合いをすることができない場合、不貞やDVなどの複雑な事情がある場合は、弁護士に依頼し、対応することをお勧めします。

離婚裁判をする場合は、弁護士に依頼したほうがよいでしょう。

【 財産分与、慰謝料、子どもの親権、養育費 】

離婚の際に決めておくべき問題としては、財産分与、慰謝料、子どもの親権、養育費です。

財産分与は、婚姻期間中に夫婦の協力によって形成・維持された財産(原則として婚姻後に形成・維持された財産は名義を問わず対象となります)を、離婚の際にそれぞれに分ける制度です。裁判所の実務では、2分の1の割合で分けるという考え方、いわゆる2分の1ルールが定着していますが、財産形成・維持への現実の寄与度をみたときに、2分の1ルールを適用するとあまりに不公平である場合などは例外的にその割合が修正されることもあります。また、相続した財産、贈与された財産、婚姻前から保有していた財産で夫婦で形成・維持した財産と区別して管理されていた財産等は、財産分与の対象とはなりません。

慰謝料は、離婚の原因が夫婦のどちらかにある場合に、原因をつくったほうが、他方に対して離婚することとなったことに関し精神的苦痛を与えたとして、不法行為に基づく損害賠償義務に基づいて支払わなければならないものです。

20歳未満のお子さんがいらっしゃるご夫婦の場合、離婚の際、夫婦のどちらかを親権者とすることを決める必要があります。未成年の子は、法律上、1人で完全な法律行為を行うことはできません。父母の婚姻中は、父母が共同親権者として、未成年の子に代わって、共同して法律行為を行うことになりますが、離婚後も共同親権の行使を強制するのは現実的でないため、父母のどちらかが単独親権者となり、未成年の子に代わって法律行為を行うことになります。なお、通常は、親権者と監護権者(お子さんの面倒をみる親)は同じですが、別々にすることも可能です。

そして、親は子に対して、法律上、扶養義務を負っているため、20歳未満のお子さんがいらっしゃるご夫婦の場合でお子さんの面倒をみない親が一定額以上の収入を得ている場合は、お子さんの面倒をみている親に対して、養育費を支払う必要があります。なお、養育費の金額は、双方の収入状況、生活状況によって変わります。

このように、離婚の際に決めておかなければならない問題がたくさんあるわけですが、法律や裁判実務に関する知識が要求されるため、一般の方がどのように対応すべきか判断するのは簡単ではありません。

弁護士に依頼する、依頼しないにかかわらず、こうした問題に関する見通しをつけるために、まずは弁護士に相談することを検討してみてもよいかと存じます。

【 婚姻費用~離婚の話し合い中の生活費~ 】

離婚が問題となると、多くのケースでは、別居したうえで、離婚について話し合いをするということになります。

また、婚姻中は、収入が多いほうが収入の少ないほうの生活を支えるのが当たり前の関係であったのに、離婚の話し合いが始まると、従前のように生活費が支払われなくなるというケースが少なくありません。

しかしながら、実務では、破綻の危機に瀕している夫婦であっても、夫婦であることに変わりはないことから、収入のあるほうが収入のないほうに対して扶養義務を負うのが原則であるとして、収入のあるほうが収入のないほうに対して、一定額の生活費(双方の収入状況、生活状況によって金額が変わります)を支払わなければならないとされています。そうした支払わなければならない生活費のことを婚姻費用といいます。

なお、婚姻費用の支払いを請求できる方が、お子さんの面倒もみている場合は、お子さんにかかる生活費である養育費も含めて、請求することができます。

弁護士が、離婚事件のご依頼を受けたときに、最初に着手し解決を図るべき問題が、この婚姻費用の問題です。

当事務所は、婚姻費用が生活にかかわるお金であることから、支払われるべき金額が速やかに支払われるよう努めております。

子どもの引き渡しに関する問題

離婚と関連し、夫婦間で子どもの奪い合いに関する紛争が起こることは珍しくありません。子どもにとっては、お父さんもお母さんも大切な親であることに変わりはなく、通常は、両親が別居することになったとしても、双方の愛情を受けながら生活していくことができるのが最も望ましい形です。

しかし、相手に対する不信感等が原因で、子どもを監護している相手方の承諾を得ずに、非監護親が事実上子どもを連れて行く、面会交流の際に子どもを帰らせないなどの、子どもの連れ去り事件が起きることがあります。

そのような子どもの連れ去り事件が起きた時、子どもを取り戻すには法的手続による必要があります。そして、子どもを取り戻す法的手続には、①家事審判、②一般民事裁判、③人身保護請求の裁判の3つの方法がありますが、主に家庭裁判所が行う家事審判手続が用いられています。

当事務所は、子どもの連れ去り事件等については、事案の緊急性をふまえ迅速に対応するよう努めております。

子どもとの面会交流

夫婦関係が悪化して、相手のもとに子どもを置いた状態で家を出ることになったり、相手が子どもを連れて別居することになっても、親と子の関係が変わるわけではありません。子どもにとっては、お父さんもお母さんも大切な親であることに変わりはなく、通常は、両親が別居することになったとしても、双方の愛情を受けながら生活していくことができるのが最も望ましい形です。

親権者又は監護権者として、子どもの監護を行っていない親(非監護親)が、子どもと面会したり、電話や手紙・メールのやり取りをして交流することを「面会交流」と言い、近年、こうした面会交流は、子の福祉の観点から、積極的に行われるようになってきました。

子どもに対する虐待があったケースなど、面会交流を行うことが子どもにとって必ずしも良いとはいえないケースを除いて、子どもが離れて暮らす親と交流することは子どもの健全な成長にとっては欠かせないことだといわれています。

他方で、離婚に至った経緯等によっては、相手に対する嫌悪感等から、子どもを別れた相手と交流させることに消極的な方も、まだまだ少なくありません。このため、面会交流が積極的に行われるようになった昨今においても、子どもに会いたくても会わせてもらえないという相談は、後を絶ちません。

当事務所では、面会交流が子どもにとって重要であることを監護親に理解してもらい、監護親の協力のもと、面会交流が円満に実現できるよう努めております。