刑事事件・少年事件

はじめに~刑事事件の手続のしくみについて~

【 成人の場合 】

ある事件について捜査をする場合、いきなり逮捕・勾留するのではなく、事情聴取等の任意捜査を原則として行うことが法律上の建前となっております。しかし、実際では、多くの事件で、警察が逮捕・勾留をして、警察の留置場で一定期間身柄を拘束下におきながら、取調べ等の強制捜査が行われております。

成人が逮捕・勾留された場合の一般的な手続の流れは以下のとおりです。なお、犯罪の嫌疑がかけられている人を「被疑者」と呼びますが、これは起訴されるまでの呼称で、起訴後は「被告人」と呼ばれます。

よく有名人が身柄拘束されるケースで、保釈による身柄解放がニュースになることがありますが、保釈制度が利用できるのは、起訴された後になります。

被疑者の権利保護の点からは、逮捕、勾留、起訴それぞれの段階でいかにして身柄拘束を防ぐか、あるいは身柄拘束期間を最小化するかがポイントになります。

※身柄拘束手続が継続した場合の流れを前提としています。

【 未成年の場合 】

未成年が逮捕・勾留された場合の一般的な手続の流れは以下のとおりです。なお、成人の場合には、起訴された場合にのみ刑事裁判が行われる仕組みとなっておりますが、未成年の場合は、原則、逮捕・勾留のあと、全ての事件について家庭裁判所へ送致されます(全件送致主義)。未成年の場合にこのような仕組みが採られているのは、どのような事件であっても、家庭裁判所でしっかりと審理をし、未成年が非行に陥った原因を探求し、それを取り除くことによって更生を図ることを目的としているからです。事件に対する処罰よりも未成年の更生に重きが置かれています。

なお、一定の場合には検察官から家庭裁判所に送致された後に、家庭裁判所から再度検察官に戻されることがあります。これを「逆送」といいます。逆送がなされると未成年者としての手続ではなく、成人の刑事事件と同じ手続で進むことになるため、検察官に起訴された場合には、刑事裁判を受けることとなります。逆送は、家庭裁判所に送致したのちに成人となった場合、家庭裁判所が刑事処分相当であると判断した場合になされます。

※身柄拘束手続が継続した場合の流れを前提としています。

逮捕の阻止に向けた活動

このサイトを見ている方のなかには、警察から任意で事情を聴きたいと呼び出されて不安になっている方や、被害者(又は被害者と称する人)からお金を支払わないと被害届を取り下げないとして金銭の要求を受けて対応に悩んでいる方などがいらっしゃるかもしれません。

冒頭で刑事手続の流れについて説明させていただきましたが、一度、逮捕・勾留されると、最大で23日間、身体拘束を受けることになり、仕事やプライベートに大きな支障が出てしまいます。さらに、起訴されてしまうと、保釈が認められない限り、裁判が終わるまで身体拘束を受けることにもなりかねません。

そのような事態を防ぐためには、逮捕・勾留等の強制捜査を捜査機関にとらせないことが重要です。このため、捜査対象になっている場合は、早期の段階で弁護士に相談・依頼することをご検討ください。弁護士が、早期に逮捕阻止に向けた活動をすることによって、今後の生活・人生への影響を最小限にとどめることが可能になります。

当事務所では、無実の場合は捜査機関に無実であることをどう説明したら理解してもらえるのか、出来心で罪を犯してしまった場合においては強制捜査を受けないためにどうしたらよいか、被害者との示談交渉を含め、アドバイスいたしております。特に被害者との示談交渉については、弁護士に依頼したほうが、早く話がまとまる場合も少なくありません。

任意捜査段階(逮捕されるかどうかという段階)では、迅速な対応が重要です。早期の段階で、まずはお気軽にご相談ください。

ご家族・ご友人が逮捕されたら

逮捕されると、通常は警察署内にある留置場に身柄拘束されます。逮捕による身体拘束は最長72時間ですが、その間に勾留手続がなされると、最長20日間(逮捕と合わせると23日間)身柄拘束されてしまいます。さらに、勾留後に起訴されてしまうと、保釈が認められない限り、裁判が終わるまで身体拘束を受けることにもなりかねません。

逮捕されてしまうと、弁護士を除く、家族や友人との面会は制限を受け、基本的には、平日の日中の時間帯で面会時間も短く、警察官等の同席といった条件があります。また、事件のことに関して話をすることも原則禁止されています。さらに、面会自体を禁止される場合もあり、その場合には、面会できるのは弁護士だけとなります。

ご家族・ご友人が逮捕された際に重要なのはとりあえず弁護士に一度面会にいってもらうことです。逮捕された方は、不安でいっぱいです。弁護士が面会し、警察の取調べに対する対応、今後の流れ、示談交渉の方針等を丁寧に説明することで、不安を取り除き、事件に対し適切な対応を取ることができます。また、逮捕の要件を満たしているかを専門家として検討して早期の身柄解放にむけ活動します。

逮捕による影響を最小限に抑えるためにも、まずはお気軽にご相談ください。

前科を避けたい・不起訴にしたい ※成人の場合

よくニュース等で「起訴」「不起訴」といった言葉を耳にしますが、そもそも「起訴」というのはどういうことかご存知でしょうか。

起訴というのは、検察官が裁判所に訴訟(刑事裁判)を提起することをいいます。起訴がなされると、捜査段階から裁判手続に移り、逮捕された方の罪について刑事裁判が開かれ、裁判所が審理することになります。起訴されると、無罪判決が獲得できない限り、前科がつくことになります。

反対に、不起訴とは、検察官が訴訟提起を行わないことを意味します。不起訴には、①嫌疑なし、②嫌疑不十分(犯罪の疑いは残るが、有罪であることを十分に立証することができない)、③起訴猶予(有罪の立証も可能であるが、犯罪の大きさ、犯罪後の事情等を考慮して検察官の裁量で起訴をしない)の3種類に大別できます。

不起訴の最大のメリットは前科がつかないことです。また、刑事裁判を受けずに済むので、身体拘束期間も短くて済みます。

当事務所では、無実の場合は、取調べに対する対応をアドバイスさせていただくとともに、無実であることを捜査機関に対して主張・立証し、不起訴に持ち込むように努めます。出来心で罪を犯してしまった場合においては、被害者との示談交渉を含め不起訴に持ち込むため最大限の対応に努めます。検察官が起訴・不起訴の判断をする時期は、事件によってまちまちで、最短の場合は、勾留から10日以内に起訴されるため、不起訴に向けた活動は、早期に開始する必要があります。

不起訴として前科を避けるために、まずはお気軽にご相談ください。

保釈に向けた活動 ※成人の場合

起訴後の段階では、一定の保証金の納付と引換えに、被告人の身柄を釈放してもらう、保釈という制度の利用が可能になります。なお、被告人が逃亡したり、裁判所の呼出しに応じなかったり、証拠を隠滅したりした場合には、保証金は没収されることになります。

保釈には、被告人の権利として認められる場合(この場合、裁判所は請求があれば原則として保釈を認めなければならないとされています、これを「権利保釈」といいます。)と、裁判所の職権裁量によって認められる場合(これを「裁量保釈」といいます。)があります。

保釈が認められるか否かは、権利保釈の要件を満たしているかどうか、権利保釈の要件をみたしているとはいえない場合でも裁量保釈を認めるべき事情があるかどうかによります。また、保釈保証金の金額は、裁判所がその裁量により、犯罪の軽重、被告人の経済状態、生活環境などの一切の事情を考慮して判断するため、保釈保証金の金額を抑えるためには、そうした具体的な考慮事情を裁判所に理解してもらうようにする必要があります。

保釈を得るためには、専門家の助力が必要不可欠です。まずはお気軽にご相談ください。

執行猶予の獲得に向けた活動 ※成人の場合

刑事事件で逮捕され、検察官に起訴されてしまったケースでは、多くの被告人に「執行猶予はつきますか」と尋ねられます。

執行猶予とは、その名のとおり、「刑の執行を猶予する」という意味です。有罪判決を言い渡されるときに執行猶予がつくと、その刑の執行が猶予され、すぐに刑務所にいくことにはならず、社会で普通に生活を送ることができます。そして、刑の言い渡しを受けてから、執行猶予の期間、再び罪を犯さなければ、宣告された刑罰は効力を失います。

したがって、起訴された被告人にとっては、執行猶予がつくか否かは、刑務所にいくか否かの分岐点であり、非常に関心の高い事項です。

執行猶予付きの判決を獲得するためには、裁判官に刑務所ではなく社会内での更生が可能と思ってもらわなくてはなりません。

そのためには、被害者との示談を行ったり、本人の反省を裁判官に伝えたり、本人の社会復帰をサポートする体制を整える必要があります。

当事務所では多くの刑事事件の経験を有する弁護士が迅速に弁護を行います。まずはお気軽にご相談ください。

社会内における更生に向けた活動 ※少年事件の場合

【 未成年者(少年)の手続の特徴 】

未成年者のご家族が逮捕された場合、どのような対応をすればよいか、通常の刑事事件と比べて何が違うのか、ご不安な方も多いと思います。

成人の刑事手続は犯罪に対して適正な処罰を行うことを目的としているのに対し、未成年者(少年)の手続は未成年者(少年)の更生を目的としているため、「要保護性」が審理の対象となります。

このため、成人は犯罪を犯した疑いがない限りは刑事手続の対象になることはないのに対し、未成年(少年)は、非行を犯すに至ってない場合でも、放置すれば非行のおそれがあると認められれば、家庭裁判所に送致されて家庭裁判所の審判が開始される可能性があります。

【 身柄拘束された場合は専門家の助力を受ける必要性が高い 】

このように未成年(少年)は成人とは異なる手続が予定されているわけですが、未成年(少年)が非行を行った場合も、成人と同様、警察に逮捕・勾留されることになります。なお、法律(少年法)では、やむを得ない場合でなければ勾留されない建前になっていますが、実際は、未成年(少年)についても勾留されるケースが多くあります。また、未成年(少年)については、勾留に代わる観護措置や少年鑑別所を勾留場所とすることができる旨の規定がありますが、そうした対応がとられるケースは少ないのが現状です。

未成年(少年)は、成人と比べて捜査官に迎合しやすいため、捜査官の誘導により、不正確な内容の供述調書の作成に応じてしまう傾向があります。やってもいない事実を認めてしまうこともままあるため、捜査段階から専門家の助力を得る必要性が高いといえます。

【 社会内で更生を図るためには環境調整がポイントとなる 】

少年院送致の処分がなされることになると、通学や仕事に大きな影響が生じることになります。非行事実の大小や背景にもよると思いますが、可能な限り、社会内での更生をはかることが、早期更生につながることが多いと思われます。

上述しましたが、審判でどのような処分をすべきかは、要保護性の有無・程度によって判断されます。具体的には、①未成年者が再び非行に陥る可能性、②保護処分(少年院送致や保護観察処分、児童自立支援施設などへの送致処分を「保護処分」と言います。)によってどの程度未成年者を矯正できるのか、③保護処分による保護が適切かつ有効であるかどうかの観点から判断されます。そして、こうした要保護性に関する検討において、未成年者(少年)の心身の状態、非行についての内省状況、未成年者(少年)をとりまく家庭環境や社会資源(学校・就職先の有無等)等が重視されます。

そのため、社会内での更生をはかるには、専門家が未成年者(少年)に寄り添いながら内省を促したり、保護者との関係調整、就業先の開拓、帰住先の確保等、未成年者の社会復帰を円滑にするための環境調整を行うことが必要不可欠です。

当事務所では少年事件の経験を有する弁護士が、社会内での更生に向けて、保護者・ご家族と協力しながら、こうした環境調整を含めた活動を行います。

まずは、未成年者の声をしっかりと受け止め、寄り添うことが第一歩となります。未成年のご家族が逮捕され、お困りの方はお気軽にご相談ください。