相続・遺言

相続対策

【 相続人間の紛争防止のための対策 】

相続対策というと、相続税など税金対策をイメージし、一部のお金持ちの人たちだけの問題と考える方も多いようですが、相続対策というのは、必ずしも税金対策だけに限るものではありません。

相続人予定者が複数の場合に、必ず、検討しておく必要があるのは、相続が発生した時に相続財産をめぐって相続人間で紛争が生じないかどうかという点です。

そうした観点からは、事業を継ぐことになっている相続人予定者に事業承継に必要な財産(事業が法人化している場合の出資持分もこれにあたります)を相続させることができるようにしておくことや、現実に相続財産となる不動産を利用している相続人予定者に、当該不動産を相続させることができるようにしておく等の対策を講じておく必要があります。

そのための具体的対策としては、遺言書の作成、生前贈与の活用等が挙げられます。どのような対策をとるのがよいかは、事案によって異なります。

ご自身が亡くなった後に、相続人間で争いが生じないようにどうしたらよいか、お悩みの方は、当事務所に、お気軽にご相談ください。

【 相続税対策 】

相続財産の金額によっては、相続税が課税されることがあります。上述したような、相続人間の紛争防止のために、遺言書の作成や、生前贈与の活用等を考える場合においても、相続税の金額をあらかじめ算定し、相続税のこともふまえて、具体的対策を検討する必要があります。しかし、相続税法は、改正されることが多く、適切な対策を検討するには、常に最新の知識が必要となります。

相続財産の金額や、相続財産の内容(例えば、相続財産のほとんどが不動産で金融資産が少ない場合、相続財産のなかから、相続税を支払えないケースも想定されます)によっては、納税資金が不足することも想定されます。相続税納付を遅延すると、多額の延滞税を課されることになりますし、場合によっては、相続人自身の財産が差し押さえられたりする可能性もあります。このため、多額の相続税が課税される可能性がある場合は、相続財産を換価する等して、相続人の納税資金の手当てをしておく必要があります。

ご自身が元気なうちは、なかなかご自身が亡くなった後のことを考える気にはならない方も多いかと存じますが、こうした納税資金の準備も含めた相続税対策の準備は、早く始めるに越したことはありません。

当事務所は、税務の専門家ではありませんが、相続に関するご相談をお受けする際には、必要に応じて、相続税を専門的に扱っている税理士と連携し、ご相談に対応しております。

遺言書の作成

【 遺言書とは 】

遺言書とは、遺言者自身が亡くなった後の財産の処分について、遺言者の意思を記しておくものです。遺産の内容、分配方法、遺言書の指示を誰に実行してほしいか、誰に未成年の子どもの世話をしてほしいか、家族に向けたメッセージ等、遺言者の思いを、遺言書を通じて残すことができます。

遺言書を作成しておく一番のメリットは、相続が発生した時に相続財産をめぐって相続人間で紛争が生じることを防ぐことができる点にあります。弁護士をしていると、「適切な遺言書さえ作成していれば紛争にならなかったのに」という事例を多く目にします。

私の家族に限ってはそんな心配はない、と思っていても、相続をきっかけに紛争となるケースは想像以上に多いのが現状です。

ご自身が亡くなった後の遺産を巡る紛争を避けるためにも、遺言書を作成しておくことをお勧めいたします。

【 遺言書の作成方法 】

遺言書の作成は自分で行うこともできますが、遺言書には様々な種類があり、書き方にも一定のルールがあります。

せっかく苦労をして遺言書を作成しても、法的な要件不備によって無効となってしまっては意味がありません。また、法的には有効であっても、記載内容が不十分なため、相続人間での争いに発展するケースや遺言執行に苦労するケースも散見されます。

そのようなトラブルを避けるためにも、法律の専門家である弁護士に遺言書の作成を依頼することをご検討ください。

当事務所では、これまでの経験をもとに、紛争を防ぐ、相続手続の手間を最小限に抑えるといった観点から、遺言書の作成を行っております。

また、遺言書を作成する際には、相続税のことも検討しておく必要があります。当事務所は、税務の専門家ではありませんが、相続に関するご相談をお受けする際には、必要に応じて、相続税を専門的に扱っている税理士と連携し、ご相談に対応しております。

遺産分割に関する話し合い・訴訟等

【 遺産分割 】

遺産分割とは、被相続人(亡くなった方)が遺言を残さずに死亡した場合等に、一旦は相続人全員の共有財産となった遺産を、相続人同士の話し合い等によって具体的に分けることをいいます。

遺産分割には、①遺産分割協議(裁判所外で、相続人同士が任意に話し合いをする方法)、②遺産分割調停(家庭裁判所の調停を利用して、相続人が話し合いをする方法)、③遺産分割審判(家庭裁判所の裁判官の審判によって遺産分割の方法を決定する方法)の3つの方法があり、基本的には①遺産分割協議→②遺産分割調停→③遺産分割審判の順で進めていくことになります。

遺産分割は、「誰が、どの遺産を相続するか」「不動産をどう分割するか」など、相続人各人にとって重要な論点が多く、また、これまでの介護状況等に関する不満など相続人同士の感情も相まって、トラブルが発生することが少なくありません。遺産分割をめぐるトラブルが発生した際、当事者のみで解決しようとすると、トラブルが大きくなったり、ご自身が損をしてしまったりする可能性があります。

そのようなトラブルを避けるためにも、法律の専門家である弁護士に依頼することをご検討ください。

また、遺産分割の際には、相続税のことも検討しておく必要があります。当事務所は、税務の専門家ではありませんが、相続に関するご相談をお受けする際には、必要に応じて、相続税を専門的に扱っている税理士と連携し、ご相談に対応しております。

【 遺留分侵害額請求訴訟 】

複数の相続人が存在する場合に、被相続人が1人の相続人だけに全財産を相続させるとの遺言書を作成されていた場合、ほかの相続人は、一切相続することはできないのでしょうか。

本来、相続財産は被相続人のものであり自由に処分することができてしかるべきです。しかしながら、現行民法は、相続財産が被相続人死亡後の相続人の生活を保障する機能を有していることや、相続人の相続財産の形成への寄与を清算する機能を有していることに配慮し、一定の範囲の法定相続人について、相続財産のうちの一定割合分(遺留分)を保障しています。

このため、遺留分を有する法定相続人は、贈与や遺贈によって、遺留分を侵害する相続をした相続人に対し、遺留分侵害額請求をすることができます。上記の例でいえば、遺留分を有する相続人は、遺言によって全財産を相続した相続人に対し、遺留分相当額の支払いを求めることができるのです。

もっとも、遺留分侵害額請求権は、遺留分を有する法定相続人が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年間行使しないときは時効によって消滅するとされていますので(※)、時効にかかる前に、行使する必要があります。

ご自身の遺留分が侵害されているのではないかとお悩みの方は、お早めに、法律の専門家である弁護士に相談することをお勧めいたします。

※相続開始の時から10年経過したときも時効にかかるとされています。

財産調査

ご家族等が亡くなった際に、被相続人(亡くなった方)が生前にどのような財産を持っているか詳しく聞いていなかったので分からない、又は、被相続人と同居していた相続人から相続財産について開示を受けたが、それが全部であるかどうか分からないといった場合には、財産調査をする必要があります。

財産調査を行い、相続財産を確定することは、①遺産分割、②相続放棄の判断、③相続税の申告が必要かの判断等の大前提となるもので、相続で欠かせない手続きのひとつです。

財産調査を行う際には、専門的な知識と経験を有している弁護士への依頼を検討ください。弁護士だけに認められている弁護士会照会等を用いながら、預金や生命保険などの財産の有無を調査することも可能です。

また、相続財産の調査と併せてその後の遺産分割協議や遺留分侵害額請求、相続税等についても相談することにより、相続問題をスピーディーに解決することも可能となります。