近隣関係・境界

騒音問題

近隣関係に関するトラブルの代表例としては、騒音問題が挙げられます。もっとも、一括りに騒音といっても、テレビの音や子供の騒ぐ声、ペットの鳴き声、故意的な嫌がらせ行為等様々です。では、このような騒音に対して、法律上どのような規制がなされているのでしょうか。

騒音を規制する法律については、騒音規制法があります。ただし、騒音規制法は、工場や建築現場、自動車騒音、飲食店営業等に係る深夜における騒音等を規制の対象とするもので、いわゆる生活騒音は規制していません。生活騒音については、都道府県等の自治体の判断で独自の条例が制定されているのみで、かつ、条例が制定されている場合でも罰則がないところがほとんどで、あまり規制できていないのが現状です。

もっとも、生活騒音について直接規制している法律がないからといって、何の手段もないかというとそうではありません。

例えば、騒音加害者に対して損害賠償や騒音行為の差し止めを請求できる場合があります(※)。その際、騒音に対する差し止めや損害賠償を請求するには、相手の行為が違法であることが必要です。そして、騒音行為が違法か否かを判断する際、裁判実務では、「受忍限度」という考え方が用いられており、社会生活を営む上で我慢するべき限度を超えている場合には違法性を帯びると言われております。なお、一般的には、違法性には段階があると理解されており、差止めによる救済を受ける場合には、損害賠償による救済を受ける場合よりもより大きな違法性が必要になると解されています。

騒音問題でお困りの方は、まずは、お気軽にご相談ください。

※生活騒音に限らず、工場や建築現場、自動車騒音、飲食店営業等に係る深夜における騒音等あらゆる騒音について、受忍限度を超えた場合、損害賠償や騒音行為の差し止めを求めることが可能です。

日照権をめぐる問題(建物の日当たりに関する問題)

日照権とは、建物の日当たりを確保する権利を言います。高層ビルの建築等により、日照権が侵害されたとしてトラブルになるケースも少なくありません。

日照権のトラブルについても、騒音問題の場合と同様、社会生活を営む上で我慢するべき限度を超えている場合には日照権侵害行為が違法になるとして、建築の差止めや損害賠償等の方法による裁判所による救済が認められています。そして、一般的には、違法性には段階があると理解されており、差止めによる救済を受けるには、損害賠償による救済を受ける場合よりもより大きな違法性が必要になると解されています。

どのような場合に受忍限度を超えたと評価できるか、損害賠償だけでなく建築の差止めまで請求できるかについては、様々な考慮要素を勘案して判断する必要があります。まずは、お気軽にご相談ください。

境界の確定に関する問題

隣地所有者との間で境界(筆界)トラブルが生じた場合、同トラブルを解決する手続きとして裁判所における境界確定訴訟と、裁判所を介さない筆界特定制度があります。

境界確定訴訟は、裁判所の判断により境界を確定する裁判です。判決の確定により、境界を形成する効果があります。

これに対し、筆界特定制度とは、2006年から実施され、筆界特定登記官が外部の専門家である筆界調査委員(土地家屋士等で構成される)の意見を踏まえて、境界の位置を特定する制度です。同制度が施行されるまでは、境界トラブルに関しては、基本的には境界確定訴訟を提起して、裁判で境界を定める必要がありましたが、同制度の実施によって、裁判に比べ迅速かつ低コストで境界を特定することが可能となりました。

もっとも、同制度によって、特定された境界は法的には確定しておらず、この筆界特定制度によって特定された筆界に不服がある場合は、境界確定訴訟を提起して、裁判で決着をつけることになります(裁判での判断が優先されます)。

当事者間で境界につきトラブルとなった際には、裁判となった際の帰結を想定しながら対応することが重要です。まずは、お気軽にご相談ください。