不動産賃貸借

はじめに~どのような契約を締結するかが重要~

賃貸借契約は、賃借人が非事業者であれば生活の基盤を、賃借人が事業者であれば事業活動の基盤を支える契約です。このため、法律が、賃借人が賃借物件の使用収益する利益を保護するために、契約の終了について規制をもうけています。例えば、普通借地契約や普通借家契約の場合、契約期間の満了だけで当然に賃借権が消滅するのではなく、賃貸人に正当な事由があることが必要になります。

これに対して、事業用定期借地契約を含む定期借地契約や定期借家契約の場合は、期間満了によって賃借権が消滅します。

契約期間が終了したら、必ず賃借物件を返還してもらいたいと考えるならば、こうした定期借地契約や定期借家契約を締結することが重要です。そして、法律に定められた要件や手続にそって契約をしないと、こうした定期借地契約や定期借家契約としての効力が認められないことがあるため、法律の専門家に相談することをお勧めいたします。

また、どのような形式の契約を締結する場合も、賃料不払い、原状回復・明渡し等に関するトラブルを最小限にとどめるには、適切な契約書を作成・締結するのが近道です。

当事務所では、各種賃貸借契約書の作成にも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

賃貸物件の管理に関する各種トラブル

【 滞納賃料の回収 】

賃貸物件の管理に関する問題の代表例は、賃料の滞納です。最初は、支払いが少し遅れているだけだと大目に見ていると、3か月・4か月・5か月…と滞納状態が続き、いつの間にか滞納額が膨れ上がってしまうことが少なくありません。

賃料の滞納を防止するには、1か月でも滞納が発生したら、その都度こまめに催促して回収するようにすることが最も重要です。

そして、オーナーや管理会社が催促してもなかなか支払いがなされない場合は、なるべく早い段階で弁護士に相談し、弁護士名義で催告書を送り、弁護士から滞納者に支払催告をしてもらうことが得策です。弁護士が出てくると、滞納者も訴訟提起されることをきらい、滞納家賃の支払いに応じるケースが少なくありません。

そのような場合には、早期に弁護士に相談することをご検討ください。

なお、賃借人の信用状態によっては、早期に賃貸借契約を解除し、滞納者を退去させ、次の賃借人を探すほうが、経済的メリットが大きい場合もあります。賃貸物件の明渡しについては、次項の建物明渡請求、建物収去土地明渡請求をご確認ください。

【 賃貸物件の修繕に関するトラブル 】

建物賃貸借契約においては、修繕をめぐるトラブルもよくあります。

例えば、台風や地震で賃貸している建物が破損した場合、建物の修繕義務は賃借人が負うという特約がある場合でも、原則として建物の修繕義務は賃貸人が負うとするのが判例ですが、建物の損壊が激しく多額の修繕費用を要する場合等まで賃貸人が修繕義務を負うかについては、考え方が分かれています。

当事者間のみで解決が図れればそれに越したことはありませんが、こうした修繕をめぐるトラブルについては、お互いの意見が食い違い当事者のみで解決できるケースは多くないのが現状です。

当事務所では、こうした賃貸物件の修繕に関する事件も扱っておりますので、まずは、お気軽にご相談下さい。

建物明渡請求、建物収去土地明渡請求

賃貸借契約に関するご依頼で最も多いのは、賃料を滞納している賃借人に賃借物件を明渡して出て行ってもらいたいというご依頼です。

賃料の支払いをしてくれない賃借人に賃借物件の使用を継続させるより、早期に賃貸物件を明渡してもらって、次の賃借人と新しく賃貸借契約を結んだほうが、収益物件の収益性向上に資する場合が多いかと存じます。

もっとも、転居をするにも費用が必要になるということもあり、賃料の滞納をしている賃借人に賃貸物件の明渡しを求めても、なかなか明渡しがなされない場合が少なくありません。そのような場合、不動産オーナーとしては非常に困ってしまいます。

オーナーや管理会社が催促しても、賃料の支払いもなければ明渡しもされないという場合は、やはり早期に弁護士に相談し、弁護士名義で催告兼解除通知書を送り、弁護士に早期退去に向けた交渉をしてもらうことが得策です。

話合いでの解決が見込めない場合は、直ちに建物明渡訴訟または建物収去土地明渡請求を提起します。

また、判決を経てもまだ、入居者が不法に居座る場合には、強制執行手続によって強制的に明渡しを実現することが可能です。

このように、弁護士に依頼した場合は、明渡しの実現に向けて、適時適切な対応をとることができ、スピーディな解決によって経済的損失を最小限にとどめることができます。

賃料増額請求、賃料減額請求

【 賃料増額請求 】

賃貸借契約は、賃貸期間が数十年間というものも少なくありません。そのような賃貸契約の中には、当初の賃料と近隣相場が乖離しているケースがあります。

近隣相場に比して現状の賃料が低い場合には、不動産オーナーとしては賃料の値上げをしたいというのが本音でしょう。もっとも、値上げ要求をした際に、素直に応じてくれる賃借人はそう多くないと思われます。

そのような場合には、借地借家法に基づいて、賃料の増額請求をすることができます。この点、賃料増額請求が認められるためには、①土地若しくは建物に対する租税等の増減の有無、②不動産価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動の有無、③近傍同種の不動産の賃料との比較を考慮した上で、現行賃料が低いことなどを主張・立証する必要があります。

不動産鑑定士による鑑定が必要となるケースも少なくありません。そのため、まずは訴訟費用が費用倒れにならないためにも、訴訟提起前に念入りに調査、検討する必要があります。

もっとも、賃料の増額請求が可能な場合であっても、直ちに近隣相場と同額の賃料額までの増加が認められるわけではないという点に留意が必要です。

なぜなら、既存の賃貸借契約における適正賃料は、その契約当事者がどのような事情を踏まえてその賃料額を設定したのか、それまでの合意賃料に関する事情も踏まえて判断されるからです。

当事務所は、不動産鑑定士とも連携しており、不動産鑑定士の意見を踏まえて適切な対応を取ることが可能です。まずは、お気軽にご相談ください。

【 賃料減額請求 】

賃借人から賃料減額請求を受けた場合、減額請求が認められるのかどうかについては、賃料増額請求が認められるかどうかと裏返しの話になります。

すなわち、賃料減額を請求する賃借人側は、①土地若しくは建物に対する租税等の増減の有無、②不動産価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動の有無、③近傍同種の不動産の賃料との比較を考慮した上で、現行賃料が高く不相当であることを主張・立証する必要があります。

これに対して、不動産オーナー側は、①~③の事情に関連づけて、現行賃料が適正であることを主張・立証していくこととなります。

顧問契約のご案内

当事務所は、長年、上場企業のお客様から中小企業のお客様、自治体、各種団体の顧問業務を行ってまいりました。顧問業務の内容には、上記取扱業務を含みますが、それらに限定されません。

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また、当事務所では、顧問先の役員・従業員の方のご相談については、顧問料と別途の費用はいただいておりません。もっとも、役員・従業員の方のご相談に関して、顧問先企業と利益が相反するご相談はお受けできませんので、その点につきましては、予めご了解ください。

顧問料の金額は、企業の規模や相談頻度等に応じて、協議の上、決定させていただいております。事業内容や、相談されたい事項、相談頻度等をお聴きして、お見積りさせていただきますので、具体的な金額をお知りになりたい方は、お尋ねください。