システム・ソフトウエア等の開発に関するトラブル

システム・ソフトウエア等の開発に関する契約書の作成

【 システム・ソフトウエア等の開発はどのように行われるか 】

システム・ソフトウエア等の開発は、発注者の意向をふまえて、ベンダーが新規にシステム・ソフトウエアを設計・プログラミングしてつくりあげていくことによって行われます。

このため、契約当初の段階では最終成果物が具体的に明示できないため、発注者とベンダーとの間に認識の齟齬が生じやすく、トラブルが生じやすい契約類型です。

システム・ソフトウエア等の開発は、①企画・計画、②要件定義、③開発、④運用の順に進んでいきます。

ベンダーとの契約のありかたとしては、1社のベンダーと一括契約して全工程を依頼する場合と、1社又は複数のベンダーと個々の工程ごとに契約・依頼する場合とに分けられます。また、契約内容については、準委任契約による場合と請負契約による場合とがあります。準委任契約による場合と請負契約による場合とでは、仕事の完成義務を負うかどうか、瑕疵担保責任を負うかどうかが異なることになります。

多額の開発代金を負担し、できあがったシステム・ソフトウエア等を使用するのは発注者ですから、発注者としては、①企画・計画及び②要件定義の段階から、自身がシステム・ソフトウエアに求める仕様を具体的に提示し、決定することが重要です。ベンダーから提案された内容についても、自社が求めているものに合致するかどうか、自社の業務フローに合致するかどうか等その内容を十分に検討し、必要に応じてベンダーに対し変更を求めていく必要があります。

将来の紛争を防ぐという観点からは、ベンダーにとっても、発注者に、①企画・計画及び②要件定義の段階からシステム・ソフトウエアに求める仕様を具体的に提示してもらうことが重要です。

また、発注者、ベンダーどちらの側に立っても、個々の工程ごとに、想定される様々なトラブルをふまえた契約書を締結しておく必要があります。

【 契約書の重要性 】

上述したようなシステム・ソフトウエア等の開発の特性をふまえると、発注者、ベンダーどちらの側に立っても、個々の工程ごとに、想定される様々なトラブルをふまえた契約書を締結しておくことが重要になります。

契約内容については、準委任契約による場合と請負契約による場合とがあると述べました。ベンダーに仕事の完成義務や瑕疵担保責任を負わせることができるという点からは、請負契約によるほうが発注者に有利といえますが、最終成果物の具体的内容が契約上明らかになっていなければ、ベンダーにこれらの責任の履行を求めることができなくなります。裁判で争いになった場合は、契約書の文言だけでなく、最終成果物の具体的内容が決まっていたかどうか、開発作業の実態、代金の支払い時期等によって、準委任契約か請負契約かが判断されています。

したがって、単に、形式的に請負契約方式で契約書を作成すれば足りるわけではなく、契約書において、最終成果物の具体的内容、開発作業の役割分担、代金の支払い方法を詳細に規定しておく必要があります。また、開発業務に携わる従業員には、契約書の内容に基づく工程管理を徹底させる必要があります。

そのためには、法務担当者だけでなく開発担当者と弁護士が打合せを行ったうえで、互いに意見を交わしながら個々の開発案件に適した契約書を作成していくことが重要です。

システム・ソフトウエアの開発は、高額な取引となることも多く、多額の経済的損失を防ぐためにも契約書の法的チェックは欠かせません。

当事務所では、契約の作成に関し経験豊富な弁護士が対応いたします。まずは、お気軽にご相談ください。

開発途中で生じたトラブルや契約解除に関する紛争

システム・ソフトウエア等の開発においては、開発途中で問題が生じ、予定していた納期までに完成しなかったり、納入はされたものの不具合が多く実用性に欠けている等の理由から損害賠償や契約解除といった事態になるケースが少なくありません。

また、今や情報システムは、企業活動を支える基盤となってきており、システム・ソフトウエア等の開発の失敗や完成遅延、運用段階の障害発生等が企業に与える損害は時として莫大な金額となることもあります。

このような紛争では、システム・ソフトウエア等がそもそも完成しているか否か、瑕疵があるかどうか、不具合の原因がどちらにあるのか、解除が認められるか否か、どの範囲で損害賠償が認められるのかといったことがよく争点となります。

もっとも、裁判官もシステム・ソフトウエア等に関しては素人であるため、裁判官に理解してもらえるよう工夫を凝らして、訴訟における主張・立証を行っていく必要があります。

当事務所は、システム・ソフトウエア等の開発に関する裁判の経験も有しております。まずは、お気軽にご相談ください。

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